そうだ、イタリアに行こう!
旅の準備、最初の難関!
「そうだ、イタリアに行こう!」
決断するまでに、そう時間はかからなかった。
深く考えれば、行けそうにもない。
ただ…。
贅沢だろうか?
ワガママだろうか?
まわりに、どう理解を求めるか?
気弱なおばさんは、
一晩中、悩んだ。
職場への報告。
用なしなのか、特に反対はなかった。
とりあえず、居場所確保のために
ペコペコと頭下げ、
一週間分のノルマを果たす。
やればできるね、と褒められた。
問題は、同居の姑だ。
83歳、このおばさんよりはるかに元気だ。
「○○さんは、行動派だからねぇ~」
と言われた。は?どこが?
当然、嫌味だ。
自分は、大金使うが、
嫁に財産食われるのは、悔しいらしい。
何に対しても貪欲で、本当にうらやましい。
一緒に行きたがったが、丁寧にお断りした。
あのスケジュール。
多分、連れて行ったら、もうこの世には
いなかったかもしれない。
ダンナは、仕事。
さすがに、ひとりでは行けないので、お供は、
卒業旅行を箱根の温泉で済ませた、22歳の娘。
「海外なんて、どうせ一生いけないわよ」と
ぼやき続けた彼女にも、チャンス到来だ。
「オレも、死ぬまでに広い世界を見たいなぁ」
と嘆くダンナには、
娘にはグローバルな世界を見せるからね、
という大義名分のもと了承させたのだ。